相次ぐAI事業撤退、TechCrunchが一覧に
OpenAIのChatGPT刷新やAppleのSiri開発遅延、スタートアップの相次ぐ閉鎖など、思うようにいかなかったAI関連の事例をTechCrunchが継続的にまとめている。
重要ポイント
- OpenAIは2026年7月にChatGPTを複数モード統合の「スーパーアプリ」化したが、使いにくいとの批判でロールバックした
- AI搭載ブラウザ「ChatGPT Atlas」やタスク自動化エージェント「Operator」、動画アプリ「Sora」もOpenAIが相次いで終了させた
- Appleは、Siriの新AI機能の遅延を巡る集団訴訟で2026年5月に2億5000万ドルの和解に応じた
- ワークフロー自動化の「Relay」、メールアプリ「Notion Mail」、モデル比較サービス「Yupp」、音声生成アプリ「Huxe」などAIスタートアップの閉鎖が2026年に相次いだ
- 調査会社S&P Global Market Intelligenceは、企業のAI導入プロジェクトの約42%が最終的に放棄されると分析している
米TechCrunchが2026年9月15日、うまくいかなかったAIプロジェクトやスタートアップを継続的にまとめる記事「The AI graveyard」を公開した。OpenAIのChatGPTアプリ刷新を巡る混乱、Apple Siriの機能遅延を巡る集団訴訟の和解、複数のAIスタートアップの閉鎖など事例が並ぶ。取り上げられているのは大手企業の主要機能から、数千万ドル規模の資金を集めたスタートアップまで幅広い。調査会社の分析では、AI関連の取り組みの一定割合が最終的に放棄されるという結果も紹介されている。
背景
生成AIブームが本格化してから約3年が経ち、資金調達や派手な発表が先行したプロジェクトが実際の収益化や継続運用の壁にぶつかる段階に入ってきた。大手テック企業も例外ではなく、鳴り物入りで発表した機能が開発の遅れや利用者からの評価の低さで撤回・延期に追い込まれる例が目立つようになった。TechCrunchの一覧は、こうした事例を随時追加する形で更新が続けられている。
AIサービスがすぐ終了するのはなぜですか?
大手プラットフォームが同じ機能を無料で組み込んでしまったり、想定したほど使われなかったりするケースが多いと僕は見ています。資金が続くうちに採算が合う形へ切り替えられるかが分かれ目です。
詳細
OpenAIは2026年7月9日、ChatGPTの複数モードを統合し「スーパーアプリ」化する刷新をローンチした。従来の使い方は「ChatGPT Classic」として残したが、統合後のインターフェースが「混乱して雑然としている」との批判を集め、間もなくロールバックされた。同社は他にも、AI搭載ブラウザ「ChatGPT Atlas」を8月9日に、タスク自動化エージェント「Operator」を廃止している。動画共有アプリ「Sora」も2026年3月に運営を終えており、運用コストと利用者の定着が課題になったとされる。
Appleは2024年のWWDCで発表した次世代Siriの提供が繰り返し遅れ、機能を誇大に宣伝したとする集団訴訟を起こされていた。同社は2026年5月、この訴訟について2億5000万ドルを支払う和解に応じ、対象の米国内iPhoneユーザーには1台あたり25〜95ドルが支払われる見通しになった。刷新版Siriは2026年7月からiOS 27のベータ版で本格的に展開が始まっている。Microsoftも2024年のBuild開発者会議で発表した機能「Recall」について、パスワードや財務情報を保存するリスクなどプライバシー・セキュリティ面の懸念を指摘され、1年近い延期を経てもなお脆弱性の報告が続いている。
AI搭載ハードウェアも苦戦が続いた。2億3000万ドルを調達したとされる「Humane AI Pin」は性能面の不満や充電ケースの発火リスクが指摘され、2025年2月にHPが1億1600万ドルで資産を買収する形で製品としては終了した。2024年1月のCESで発表され10万台を売り上げた「Rabbit R1」も未完成で信頼性が低いとの評価が広がったが、開発元は撤退はせず新デバイス「Project Cyberdeck」を発表し継続を図っている。
スタートアップの閉鎖も目立った。ワークフロー自動化ツール「Relay」は、Zapierの対抗馬として2021年に始まったが、2026年8月に閉鎖を発表し、無料ユーザーは8月15日、有料ユーザーは9月14日にアクセスを終えた。創業者のジェイコブ・バンク氏はGoogleのChromeチームにプロダクト担当バイスプレジデントとして加わったという。メールアプリ「Notion Mail」も2025年4月のローンチから17カ月で幕を閉じ、2026年9月22日に終了する予定だ。利用者の半数以上が受信箱を開かずにメールを処理していたことから、運営元はAIエージェントへの全面移行にかじを切ったとしている。AIモデルの比較サービス「Yupp」はa16zから3300万ドルを調達し130万人が利用していたが、十分な製品市場適合を得られなかったとして2026年3月末に閉鎖を発表した。元NotebookLM開発者が立ち上げた音声生成アプリ「Huxe」は460万ドルを調達していたが、Spotifyが類似機能を発表した翌日に閉鎖を明らかにしている。
市場調査会社S&P Global Market Intelligenceの分析では、企業が着手したAI関連の取り組みのうち約42%が最終的に放棄される傾向があるという。TechCrunchは今後も同様の事例が出るたびに、この一覧を更新していく方針としている。
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