本文へ移動
tappuri.ai
ニュース

AirTagが暴いた、Amazonが希少本をAI学習用に破棄していた実態

404Mediaの調査で、Amazonが希少な紙の本を大量購入しAI学習用にスキャンした上で廃棄している実態が判明。ラスベガスの倉庫チーム「VGT3」やAIモデル「Nova」との関係も報じられています。

出典
3件 主な出典
公開日時
AI利用範囲
AIによる要約・執筆(機械チェック実施)

重要ポイント

  • 404Mediaの記者が希少本の仕入れにAirTagを仕込み、流通経路を追跡した
  • 古書販売サイト「Biblio」経由で購入された約1,000冊の書籍の一部として発送された
  • 本はラスベガスのAmazon倉庫に到着し、施設名は「LAS8」と報じられている
  • 倉庫内の担当チーム「VGT3」は、本をくわえるティラノサウルスのロゴを使用
  • 作業員は背表紙を切り落としてスキャンを高速化し、その過程で本は廃棄される

このニュースを仕事でどう使うか

  1. 日本の企業が海外のAIベンダーやデータ提供事業者と契約する際は、学習データがどのように調達されているかを確認する視点が今後重要になっていく可能性があります。
  2. 特に自社の書籍や資料をAI学習用に提供・売却する場合は、原本の取り扱いや破棄の有無について契約条件を確認しておくと安心です。
  3. 中小企業にとって直接の影響は限定的とみられますが、AIサービスを選ぶ際にデータ調達の透明性を判断材料の一つに加えるという考え方もあります。

米ニュースサイト404Mediaの調査により、Amazonが希少な印刷本を大量に購入し、AIモデルの学習データにするためスキャンした上で廃棄していた実態が明らかになりました。調査班は本の中にAppleの位置情報タグ「AirTag」を隠して発送し、本がラスベガスのAmazon倉庫にたどり着くまでを追跡しています。倉庫内の担当チームは「VGT3」と呼ばれ、本をくわえたティラノサウルスをあしらったロゴを使っていることも判明しました。Amazon側は本を商業的な経路で購入し製品・サービスの改善に役立てていると説明していますが、破棄の手法については具体的に語っていないと報じられています。

背景

生成AIの学習データ源として、著作権上クリーンで質の良いテキストの確保は業界共通の課題になっています。ウェブ上のテキストはAI生成コンテンツの増加で品質低下の懸念があり、2022年より前に出版された紙の書籍は「人間が書いた文章」の希少な供給源として注目されてきました。OpenAIやMicrosoftなど大手AI企業が出版社と契約を結んで学習データを確保する動きが相次ぐ一方、Amazonのように紙の本を直接購入してスキャンする手法は、その過程で原本が失われる点で議論を呼んでいます。

読者

AIに読ませるだけなら、本を捨てずに保管しておけばいいのでは?

ヌマ(編集部)

大量の本を人手でめくってスキャンするより、背表紙を切って自動読み取り機にかけたほうが圧倒的に速くて安いからだと報じられています。ページを平らにできるかが処理速度を左右するようです。

詳細

報道によると、404Mediaの記者は古書販売サイト「Biblio」を通じて希少本を含む約1,000冊の書籍を発注し、その一部にAppleのAirTagを忍ばせて発送しました。荷物は複数の中継地点を経由したのち、最終的にラスベガスにあるAmazonの物流拠点「LAS8」に到着したと伝えられています。

この施設には「VGT3」と呼ばれる社内チームが置かれており、本をくわえたティラノサウルスをモチーフにしたロゴを掲げているといいます。同チームの作業員によると、本の背表紙をカッターで切り落として1枚ずつのシートに分解し、専用のスキャナーで高速に読み取る手法が用いられており、この工程で本自体は原形をとどめず廃棄されるとのことです。

スキャンされたテキストはAmazonの生成AIモデル「Nova」の学習データとして利用されていると報じられています。2022年より前に出版された紙の書籍は、生成AIによる文章がインターネット上に急増する前の「人間が書いた文章」であるため、学習データとしての価値が高いとされています。Amazonの広報担当者は取材に対し、「商業的なチャネルを通じて本を購入し、顧客が利用する製品やサービスの改善に役立てている」との趣旨のコメントを寄せた一方、破棄の手法そのものについては具体的な説明をしていないと報じられています。

なお、紙の書籍を大量に購入してスキャンし学習データ化する取り組みは他のAI企業でも行われていたことが、別の訴訟を通じて明らかになっています。報道では、Anthropicが「Project Panama」と呼ばれる同種のプロジェクトを進めていたとされており、良質な学習データの確保がAI業界全体の課題であることがうかがえます。

なぜ重要か

この件は、生成AIの裏側にある学習データ調達の実態が、一般の消費者や出版関係者の目に触れにくい形で進んでいることを示しています。書籍という文化的資産が、著者や出版社の関与しないところで裁断・廃棄される可能性がある点は、日本の出版業界や著作権を考える上でも他人事ではありません。AIモデルの性能向上と引き換えに、希少本という物理的な資産が失われるリスクが具体的な事例として示された点は、AI開発の透明性を議論するうえで参考になる材料と言えるでしょう。日本でも国立国会図書館などによる書籍のデジタル化事業が行われていますが、原本の保存を前提とした手法とは性質が異なる点は留意が必要です。

今後の見通し

Amazonが今回の報道を受けて書籍の取り扱い方針を見直すかどうかは、現時点では明らかになっていません。出版業界や著作権関係者からの反応、他のAI企業における同種の取り組みの実態が今後さらに明らかになる可能性があります。

関連する仕事・業種

毎週金曜、AIまとめを無料でお届け