「メガネはクソだ」ロード、Ray-Ban Meta AIグラスを痛烈批判
歌手ロードがマドリードのフェスでAIスマートグラスを酷評。名指しは避けたものの、協賛社Ray-Ban Metaへの当てつけとみられ、プライバシー懸念の議論に一石を投じました。
重要ポイント
- ロードはMad Cool Festival(マドリード)のステージで「あのメガネはクソだ。買うな。全然セクシーじゃない」と発言
- ブランド名は明言しなかったが、フェスの協賛社であるRay-Ban Meta AIグラスへの当てつけとみられている
- 発言の直後にRay-Ban Metaのグローバルアンバサダーを務めるBLACKPINKのJennieが同フェスに出演しており、対比がSNSで話題に
- Metaは自社AIグラスをめぐり、プライバシー侵害を訴える集団訴訟や米テキサス州司法長官による調査を抱えていると報じられている
- Metaは常時センシングで周囲を記録し続ける新型プロトタイプ「super sensing」も開発中と報じられている
このニュースを仕事でどう使うか
- イベントやコンテンツにテック企業のスポンサーシップやアンバサダー起用を組み込む際は、出演者・関係者の価値観や過去の発言との整合性を事前に確認しておくことが摩擦の回避につながります。
- AI搭載デバイスを店舗やサービスに導入する企業は、録画・録音機能の有無や範囲を来店者・利用者にどう明示するかを、単なる技術仕様ではなく信頼構築の課題として検討する価値があります。
ニュージーランド出身のシンガーソングライター、ロード(Lorde)が2026年7月9日、スペイン・マドリードで開催されたMad Cool Festivalのステージ上でAIスマートグラスへの批判を口にしました。名指しは避けたものの、フェスティバルのスポンサーであるRay-Ban(レイバン)とMetaが共同開発したAIグラスを念頭に置いた発言とみられています。ステージでの発言を収めた動画はSNSで拡散し、大きな話題となりました。ロードの直後には、Ray-Ban MetaのAIグラスのグローバルアンバサダーを務めるBLACKPINKのJennieが同フェスに出演しており、その対比が皮肉を呼びました。
背景
Ray-Ban Metaは、老舗サングラスブランドのRay-BanとMeta社が共同開発した、カメラ・マイク・AIアシスタントを内蔵する「スマートグラス」です。見た目は通常のサングラスとほぼ変わらない点が特徴ですが、それこそが、周囲の人が気づかないまま撮影・録音されるのではないかという懸念の的になってきました。近年は音楽フェスなどのライブイベントでもテック企業のスポンサーシップやアンバサダー起用が一般化しており、アーティスト自身が広告塔と同じ舞台に立つ場面も増えています。
詳細
ロードは同フェスでのパフォーマンス中、「この世界では、何が本物かを見分けるのがどんどん難しくなっている。誰かがかけているのが普通のサングラスなのか、それともあの……」と切り出し、言葉を濁したのち「あのメガネはクソだ」と言い切りました。SNSに投稿された映像には、続けて「買うな。全然セクシーじゃない」といった趣旨の発言も収められています。
海外メディアの報道によれば、ロードはブランド名を直接口にしていません。しかし、Ray-BanがMad Cool Festivalのスポンサーであったこと、そしてロードの出演直後にRay-Ban MetaのAIグラスのグローバルアンバサダーを務めるBLACKPINKのJennieが登場したことから、Ray-Ban Metaを指した発言だとの見方が広がっています。Metaを巡っては、Instagramの公開アカウントを無断でAI画像生成に使える機能が批判を受けて即座に撤回されたばかりで、同社のAI製品はプライバシー面での逆風が続いています。フェス会場ではセット間にRay-Ban Metaの広告映像が流れていたとも報じられています。
Meta製AIグラスをめぐっては、プライバシー面での懸念がここ数カ月で相次いで表面化しています。報道によれば、ユーザーがグラスで撮影した映像がMetaのAIモデル訓練のためケニアの作業者によって閲覧されていたと主張する訴訟が起こされているほか(AIの学習データがどこへ渡り、どう使われるかは利用者にとって見えにくい論点です)、米テキサス州司法長官が今年5月、Metaのグラスが同意なく録画・生体情報収集を行っている疑いについて調査を開始したとされています。さらにMetaは、常時センシングでユーザーの視界と音声を継続的に取得する新型プロトタイプ「super sensing」を開発中とも報じられており、録画中を示すLEDランプを点灯させない設計になる可能性も指摘されています。
なぜ重要か
著名アーティストが公の場でテック企業のスポンサーシップを名指しに近い形で批判する構図は、音楽フェスとテック業界のスポンサー関係にとって無視しにくい出来事です。テック企業のプライバシー対応を巡っては、イーロン・マスク氏のXがFTCの監視解除を求め、プライバシー団体が反発した事例のように、監督当局との緊張が高まる場面も相次いでいます。日本でも音楽フェスや商業施設でのブランド協賛、インフルエンサー起用は一般的であり、協賛企業の製品や事業内容によっては同様の摩擦がいつでも起こり得ます。また、AIグラスのように「見た目では判別できない録画・録音機能」を持つデバイスは、日本国内でもプライバシーや肖像権をめぐる議論の対象になりやすい分野です。今回の件は、AI搭載ウェアラブル機器に対する消費者・著名人の警戒感が国際的に高まっていることを示す一例といえます。
今後の見通し
Metaは今後もAIグラスのプライバシー保護機能の強化と新機能拡張の両立を迫られるとみられ、著名人や消費者からの批判が製品戦略やマーケティングに影響を与える可能性があります。日本市場でAIグラスの展開が本格化する際には、海外で表面化しているこうしたプライバシー論争が参考材料になりそうです。
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