OpenAI、数学者9人の諮問機関設立
OpenAIが数学の未解決問題を相次ぎ解決したと発表し数学界の反発を招いた末、プリンストン高等研究所を拠点とする数学者9人の独立した諮問グループの設立を発表した。研究成果の公開方法に助言するが、研究の速度や方向性には関与しない。
重要ポイント
- OpenAIが2026年9月21日、独立した数学者の諮問グループ「Advisory Group on Mathematics and Artificial Intelligence」の設立を発表した
- 拠点はプリンストン高等研究所(IAS)で、Timothy GowersやEdward Wittenら9人の数学者が参加する
- 発端は、OpenAIの内部モデルがナビエ・ストークス方程式のミレニアム懸賞問題について有限時間で解が発散することを示したとする発表と、その後の「100件以上の未解決問題を解決した」という主張だった
- 諮問グループはAIが生成した数学的成果の公開方法について助言するが、研究の速度や方向性を決める権限は持たない
- 9月上旬にはフィールズ賞受賞者25人が、AI企業間の競争が数学の知的営みを脅かすとする公開書簡に署名していた
OpenAIは2026年9月21日、数学研究とAI企業の関わり方について助言する独立組織「数学と人工知能に関する諮問グループ」の設立を発表した。プリンストン高等研究所(IAS)を拠点とし、著名な数学者9人が名を連ねる。The Vergeなど複数メディアが報じた。同社はここ数週間、内部モデルによる数学の未解決問題の解決を相次いで発表し数学界から批判を浴びており、今回の組織設立はその反発を受けた軌道修正とみられる。
背景
AI企業各社は近年、大規模言語モデルに数学の未解決問題を解かせる取り組みを競うように進めてきた。証明の正しさを機械的に検証できるLeanのような証明検証言語の普及が、こうした成果主張を後押ししてきた面もある。一方、証明が外部の数学者による査読を経ないまま公表される例が増え、内容を検証できないまま「解決」を名乗ることへの懸念が数学界で強まっていた。
AIが数学の未解決問題を解いたって、それはすごいことじゃないんですか?
証明が公開され外部の数学者が検証できて初めて「解けた」と言えます。今回は検証前に発表が先行した点が問題視されました。
詳細
騒動の発端は、OpenAIが強制ナビエ・ストークス方程式について有限時間での解の爆発を内部モデルが示し、証明検証言語Leanで確認したと発表したことだった。ナビエ・ストークス方程式の解の滑らかさを巡る問題は、クレイ数学研究所がミレニアム懸賞問題の一つに指定していることで知られる。この発表の数日前には、ニューヨーク大学のTristan Buckmaster氏とAnthropicの研究者Levent Alpöge氏が、関連する解の爆発に関する結果を公表していたことも報じられた。
OpenAIはその後、同じ内部モデルが数学の広い分野にわたって100件以上の未解決問題を解決したとも主張した。しかし解決したとされる問題の一覧や証明そのものは公開されておらず、何をもって「解決」と呼ぶかの基準も示されなかった。この不透明さに対し、査読を経ないまま件数だけを積み上げる姿勢への批判が数学者の間で広がった。
こうした緊張は今回が初めてではない。9月上旬にはフィールズ賞受賞者25人が連名で公開書簡に署名し、AI企業同士が著名な未解決問題を一番乗りで解こうと競う動きが数学という知的営みそのものを脅かしかねないと警告していた。今回の諮問グループ9人のうち、この書簡に署名していたのは当初1人にとどまっていたという。
新設の諮問グループにはTimothy Gowers氏、Edward Witten氏、Martin Hairer氏ら著名な数学者が名を連ね、プリンストン高等研究所を拠点に活動する。OpenAIとIASはいずれも、このグループがOpenAIの数学研究の速度や方向性を左右する権限は持たないとしている。メンバーは無報酬だが、要請の有無にかかわらず助言を発信でき、自らの見解を公にする自由や、メンバー構成自体を自ら決める独立性を保つとされる。
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