AIエージェントの締め出し広がる AmazonやYelpが制限
利用者の代わりに予約や買い物をこなすAIエージェントが、米国の大手サイトで止められる事例が相次いでいる。Amazonや航空会社、Yelpが自動アクセスを制限し、Meta・Walmartなどは共通規格づくりに動き出した。
重要ポイント
- Meta、xAI、OpenAI、Instinctなどのエージェント利用者が、主要サイトで操作を止められたと報告している。
- Amazonは9月からMuseによる閲覧や購入を遮断し、許可のないエージェントの利用は規約違反とする表示を出したと報じられている。
- Yelpは、データライセンス契約を結んでいないエージェントによる非人間トラフィックを認めていないという。
- 米投資銀行Jefferiesの調査では、数百の米国サイトのうち約3分の1がMuseを遮断し、別の約3分の1が確認や制限をかけたという。
- Meta、Walmart、Stripeなどは、エージェントと事業者のやり取りを定めるオープンな規格づくりを進めている。
利用者の代わりにWebサイトを操作するAIエージェントが、米国の大手サイトから締め出される事例が相次いでいる。米The Vergeによると、Metaの「Muse」やxAIの「Grok」、OpenAIの「Dots」、Instinctなどの利用者から、主要サイトでタスクを実行できないという報告がここ数週間で寄せられているという。Amazonは9月からMuseによる利用を遮断し、YelpやeBay、航空各社も自動アクセスを制限している。各社がエージェントによる買い物や予約を売り込む一方、受け入れる側のサイトとの調整は追いついていない。
背景
AIエージェントは、指示を受けてブラウザを操作し、予約や購入まで代行する仕組みを指す。多くのWebサイトは以前から、価格情報の大量取得や不正ログインを防ぐ目的で、ボットを見分けて遮断する仕組みを導入してきた。人の代わりに動くエージェントも外形上は自動アクセスにあたるため、こうした防御に引っかかりやすい。
エージェントが止められると、何ができなくなるのですか?
予約や購入の最後の手続きで止まる例が多く報じられています。サイトの規約による遮断や、人間かどうかを確かめるボタンで処理が途切れるためです。
詳細
米TechCrunchが10月6日に伝えたところでは、Amazonは自社の小売サイトでMuseによる商品の閲覧や購入を遮断した。この動きはBloombergが9月21日に報じており、利用者の画面には、許可のないAIエージェントによるアクセスは利用規約に反するという趣旨の表示が出たという。Metaは9月23日の年次イベント「Connect」でMuseの提携先を発表し、「パーソナルエージェントを拒むことは、その背後にいる顧客を拒むことになる」と主張している。
すべての遮断が意図的とは限らない。Walmartはプロダクトの提携先でありながら、Museが決済の段階で失敗するという報告が出た。人間確認のボタンがエージェントの操作を中断させたとみられ、Walmart側は意図した遮断ではないと説明した。Zillowも、消費者の代理として動くエージェントは認めているものの、スクレイピング対策が一部のエージェントを止めることがあるとしている。GoogleについてはGmailの受信箱を整理していたInstinctが締め出されたという利用者の報告がある。
一方で、方針として自動アクセスを制限する企業もある。Yelpはデータライセンス契約を通じて対価を払ったエージェント以外の非人間トラフィックを認めておらず、正式な提携がなければ見積もりや順番待ち、予約は失敗する可能性が高いという。eBayは買い物エージェントを一律には禁じていないとしつつ、許可のないエージェントやスクレイピング、モデル学習目的の利用を制限しており、アカウントを停止されたと訴える利用者も出た。航空会社では、Deltaが第三者のエージェントによる予約を認める提携はないとし、Unitedはロボットなどの自動的な手段による利用を禁じる利用規約を示した。Pizza HutやAdidasでも購入が止まったとの投稿があったが、両社は取材に応じていないと報じられている。
規模感を示したのがJefferiesの調査である。Yahoo Financeに転載された10月9日付の記事によると、同社は米国の主要なEC、航空、旅行予約、ホテル、飲食予約などのサイト数百件でMuseを試し、約3分の1が遮断、約3分の1が確認や制限、残る約3分の1が問題なく操作できたという。新たな制限は「ほぼ毎日」現れているとし、エージェントによる商取引ではモデルの性能よりサイトへのアクセスが制約になりつつあると指摘した。多くの企業がGoogleの検索用クローラー「Googlebot」を遮断したがらないことから、Alphabetが構造的に有利な立場にあるとの見方も示している。
業界側の対応も始まった。Meta、Walmart、Stripe、Sierra、Genesys、Rocket、NiCE、Decagonは、エージェントが事業者とどうやり取りするかを定め、正規の利用者のエージェントと悪意あるボットを区別するためのオープンな規格を開発していると報じられた。Metaはこれとは別に、Walmart、Best Buy、Wayfair、Sephora、Dick's Sporting Goodsと公認の接続を用意しているが、その多くは初期段階か未稼働とされる。Cloudflareは個人向けエージェントの遮断に関する具体的なデータは持っていないとし、遮断の規模を示す公的な統計はまだない。
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