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AIで創薬はどう変わる?アストラゼネカに見る次世代医薬品設計の現場

バイオロジック医薬品の設計にAIをどう組み込むか、アストラゼネカの事例を中心に、MIT Technology Reviewが報じた次世代の医薬品設計の現場を紹介します。

出典
2件 主な出典
公開日時
AI利用範囲
AIによる要約・執筆(機械チェック実施)

重要ポイント

  • バイオロジック医薬品は、抗体などのタンパク質を工学的に設計してつくる治療薬で、合成化学由来の医薬品より分子構造が複雑とされる
  • 調査会社マッキンゼーは、生成AIと計算ツールの組み合わせにより創薬期間を最大50%短縮できる可能性があると予測している
  • アストラゼネカはAIが候補分子を生成・優先順位付けし、実験室で検証し、その結果を学習にフィードバックする「デザイン・メイク・テスト・分析」のサイクルを回している
  • 同社は分子構造・結合測定データ・安全性プロファイル・製造結果などの多様なデータセットを、AI活用の競争力の源泉と位置づけている
  • AIが計算で生成した分子が人体でも安全かを予測することは依然として最も難しい課題であり、細胞システムや微小な臓器モデルを使った仮想的な試験で補っていると説明されている

このニュースを仕事でどう使うか

  1. 製薬・バイオに直接関わらない企業にとっても、AIを既存の研究開発プロセスに段階的に組み込み、生成・検証・学習のサイクルを回すという発想は参考になり得ます。
  2. 特に、自社が長年蓄積してきたデータを整理・構造化することがAI活用の前提条件になるという点は、業種を問わず共通する示唆といえるでしょう。
  3. ただし本記事は特定企業が資金提供した企画記事であり、成果の数字は今後、第三者による検証や実際の新薬承認実績を通じて評価されていく段階にある点には留意が必要です。

新薬の開発は、莫大な費用と長い年月をかけても大半が失敗に終わる、極めてリスクの高い挑戦です。特に近年注目される「バイオロジック医薬品」(合成化学ではなく、タンパク質を工学的に設計してつくる治療薬)は、分子の構造が複雑なぶん設計・検証の負担も大きいとされています。米MIT Technology Reviewは、こうした創薬プロセスにAIをどう組み込むかについて、英製薬大手アストラゼネカの事例を交えて報じました。同社R&D部門で生物医薬品エンジニアリングとがん領域の標的探索を統括するプジャ・サプラ氏のコメントをもとに、設計から製造まわりの意思決定にAIが浸透しつつある様子が紹介されています。

背景

新薬候補の多くは臨床試験の途中で有効性や安全性の壁にぶつかり、患者に届く前に開発が打ち切られます。近年は抗体医薬をはじめとするバイオロジック医薬品の重要性が高まる一方、その設計には膨大な組み合わせの中から有望な分子を絞り込む必要があり、従来は経験と試行錯誤に頼る部分が大きい領域でした。AIによる分子設計や予測の活用は製薬業界全体で広がっており、今回の記事はその実例のひとつとしてアストラゼネカの取り組みを紹介する内容です。

詳細

記事によれば、アストラゼネカではAIが治療候補となるタンパク質分子を生成・優先順位付けする段階から関わっています。具体的には、複数の作用ターゲットへの効果、分子の安定性、量産のしやすさ、安全性といった複数の要素を同時にバランスさせる「多変数最適化」にAIを活用しているとされます。さらに一歩進んで、AIがまったく新しいタンパク質配列をゼロから設計する「デノボ設計」も進行中の取り組みとして紹介されています。

同社は米マサチューセッツ州ケンブリッジに、AIと自動化ロボットシステムを組み合わせた実験施設を持ち、分子の設計・作製・試験・分析を連続的に回す体制を敷いているといいます。サプラ氏は、分子構造や結合測定、安全性プロファイル、製造結果を含む多様でマルチモーダルなデータこそが自社の競争優位性だと説明しています。

一方で課題も語られています。サプラ氏は、コンピューター上で生成された分子が実際の人体でどのような安全性プロフィールを示すかを予測することが「最も難しい問題」だと指摘。これに対応するため、細胞を用いたシステムや微小な臓器モデルを使った仮想的な臨床試験的アプローチで補っていると述べています。なお本記事はアストラゼネカの資金提供によりMIT Technology Review Insightsが制作した企画記事である点は留意が必要です。

なぜ重要か

創薬は日本の製薬・バイオ産業にとっても収益と国民の健康の両面で重要な分野であり、AIによる開発期間短縮や成功率向上の動きは国内企業の研究開発戦略にも影響し得るテーマです。マッキンゼーが示す「最大50%短縮」という数字はあくまで見立てであり、実際の効果は薬剤や企業によって差があるとみられますが、大手製薬会社が実データに基づいてAI活用を体制化している事実は、業界全体の投資判断や人材戦略の参考になります。また、AI創薬の恩恵を最大化する鍵が「多様で質の高いデータ」にあるという指摘は、医療・研究データの整備状況が競争力を左右する時代であることを示しています。

今後の見通し

AIを活用したバイオロジック医薬品の設計は、デノボ設計のような新しい段階へと広がりつつあるとみられます。安全性予測の精度向上や、仮想試験と実際の臨床試験との整合性の検証が今後の焦点になると考えられますが、実際にどの程度まで開発期間短縮や承認率向上につながるかは、今後の臨床データの蓄積を待つ必要がありそうです。

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