Meta、InstagramのAI画像生成機能「Muse Image」を公開3日で撤去
MetaはInstagramに公開したばかりのAI画像生成機能「Muse Image」を撤去しました。本人の同意なく他人の写真をAI画像の参照に使える仕様に批判が集まったためです。
重要ポイント
- MetaのAI開発部門「Meta Superintelligence Labs」が手がけた画像生成機能「Muse Image」の一部が、公開から数日で撤去された
- 利用者は他人の公開Instagramアカウントを@メンションすることで、そのアカウントの写真を参照したAI画像を生成できる仕組みだった
- 18歳以上の公開アカウントはデフォルトで参照対象に含まれており、除外するには利用者自身が設定画面から手動でオプトアウトする必要があった
- 自分の写真が参照されたことを本人に通知する仕組みがなかった点が批判の中心だった
- 俳優組合SAG-AFTRAやタレントエージェンシーCAAなど業界関係者からも懸念の声が上がり、Metaは撤去を決定した
このニュースを仕事でどう使うか
- 自社サービスにAIによる画像・音声生成機能を組み込む企業にとって、今回の件は「本人の写真・音声・肖像をAIの参照素材として使う場合の同意取得と通知の設計」を見直す機会になりそうです。
- 特にデフォルトで他者のコンテンツを利用可能にする設計は、意図せず反発を招くリスクがある点は留意に値します。
- 中小企業がAIツールを選定・導入する際も、提供元がこうしたプライバシー配慮をどう設計しているかを確認材料の一つに加える価値があるでしょう。
Meta(旧Facebook)は2026年7月10日、Instagramに公開したばかりのAI画像生成機能「Muse Image」の一部機能を撤去したと発表しました。この機能はわずか3日前の7月7日ごろに公開されたばかりで、利用者から本人の同意なく写真が参照される仕組みへの批判が噴出していました。撤去の背景には、一般ユーザーだけでなく、俳優らが加盟する労働組合SAG-AFTRAやタレントエージェンシーCAAからの抗議もあったと報じられています。Metaは公式ブログで「意図としては便利な創作ツールを提供し、自分の公開コンテンツがこの形で参照されるかどうかをユーザー自身がコントロールできるようにすることだった」としつつ、「機能が的を外していたというフィードバックを受け止め、提供を終了した」とコメントしています。
背景
生成AIによる画像・動画技術は急速に進化しており、実在の人物の容姿を参照・模倣したディープフェイク的なコンテンツを誰でも手軽に作れるようになっています。それに伴い、本人の同意なく容姿が利用されることへの懸念は、ハリウッドの俳優組合SAG-AFTRAが2023年のストライキでAI規制を主要争点の一つに据えて以来、繰り返し表面化してきたテーマです。SNSプラットフォーム各社もAI生成機能を競って投入する一方、プライバシーや肖像権への配慮を欠いた設計がたびたび批判の対象となっており、今回の一件もその延長線上にあります。
詳細
Muse ImageはMetaのAI開発部門であるMeta Superintelligence Labsが手がけた新しい画像生成ツールで、2026年7月7日ごろにInstagram上で公開されました。最大の特徴は、ユーザーが公開Instagramアカウントを@メンションすることで、そのアカウントに投稿された写真をAI画像生成の参照元として使える点でした。
問題視されたのは、この参照機能が18歳以上の公開アカウントに対してデフォルトで有効になっていたことです。自分の写真が参照対象から外れることを望むユーザーは、アプリの設定画面から自ら操作してオプトアウトする必要がありました。加えて、実際に自分の写真が参照・利用された場合でも本人に通知される仕組みがなく、無断で容姿を使われる可能性への懸念が急速に広がりました。生成物が本人のものかどうかを見分ける手段としては、デジタル署名によるAIコンテンツの真正性証明や電子透かし技術といった仕組みも登場していますが、今回のケースはそれ以前の同意設計そのものが問われた形です。
公開からわずか3日後の7月10日、Metaはこの機能を撤去すると発表しました。撤去の判断には、一般ユーザーからの反発に加え、俳優らが加盟する労働組合SAG-AFTRAやタレントエージェンシーCAAからの働きかけもあったと報じられています。SAG-AFTRAの広報担当者は今回の撤去を歓迎し、「責任ある対応だ」とコメントしたと伝えられています。Metaは公式ブログで、「意図としては便利な創作ツールを提供し、自分の公開コンテンツがこの形で参照されるかどうかをユーザー自身がコントロールできるようにすることだった」としたうえで、「機能が的を外していたというフィードバックを受け止め、提供を終了した」と説明しています。
なぜ重要か
今回の一件は、生成AI機能を新規投入する際の「初期設定(デフォルト)」の設計がいかに重要かを示す事例です。オプトイン方式ではなくオプトアウト方式を採用し、かつ利用状況を本人に通知しない仕様だったことが、批判が急速に広がった主な要因とみられます。日本国内でも、SNSやAIサービスを提供する企業にとって、他人の顔写真・容姿を参照するAI機能をどのような同意設計で提供するかは共通の論点です。今回のようにグローバルプラットフォームが公開から数日で機能撤去に追い込まれた事例は、AI機能を検討する企業にとって参考になる材料と言えます。
今後の見通し
Metaは今回撤去した機能について、設計の見直し後に再提供するかどうかを明らかにしていません。生成AIを巡っては、肖像やコンテンツの利用同意のあり方について、プラットフォーム各社・業界団体の間で今後も議論が続く見通しです。同様の機能を検討する他社にとっても、同意設計とユーザー通知の在り方が焦点になっていくとみられます。
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