中国IT大手アリババが、Anthropic製のAIコーディングツール「Claude Code」の使用を、自社で「高リスクソフトウェア」に分類したうえで禁止する方針だと報じられました。ロイター通信などによると、禁止は2026年7月10日から発効し、従業員には代わりに同社のコーディングツール「Qoder」への切り替えが指示されているとのことです。きっかけは、Claude Codeに中国のユーザーを識別する隠しコードが含まれていたとの指摘です。Anthropicは該当機能をすでに削除したとしており、両社の主張は食い違っています。

ポイント

  • アリババはClaude Codeを「高リスクソフトウェア」に分類し、7月10日から従業員の利用を禁止する方針と報じられている
  • きっかけは6月30日、Redditユーザーが2026年4月2日公開のバージョン2.1.91以降に組み込まれていたとされる隠しコードを発見したこと
  • 当該コードはユーザー端末のタイムゾーンが「Asia/Shanghai」または「Asia/Urumqi」かどうかを確認し、XOR暗号化などで存在を隠していたと報じられている
  • Anthropicの担当者は、不正な再販業者対策とAIモデルの「蒸留」対策を目的にした実験だったと説明し、7月1日までに削除したとしている
  • 背景には、Anthropicが6月、アリババ傘下Qwen AIラボに関連する事業者が数万規模のアカウントを使い大量の蒸留行為を行ったと非難していた経緯があり、アリババ側はこれを否定している

背景と詳細

今回の禁止の発端は、6月30日にRedditユーザーがClaude Codeのコードを解析し、バージョン2.1.91(4月2日公開)以降に組み込まれていたとされる隠し機能を明らかにしたことです。報道によれば、この機能はユーザー端末のシステムタイムゾーンが「Asia/Shanghai」または「Asia/Urumqi」かどうかを確認するもので、XOR暗号化や日付表記・Unicode文字の変更といった手法で存在を隠していたとされています。

これに対しAnthropicのエンジニア、Thariq Shihipar氏は、この仕組みは3月に始めた実験であり、目的は不正な再販業者によるアカウント悪用の防止と、他社が同社モデルの出力を学習に使う「蒸留」への対抗だったと説明し、7月1日までに機能を削除したと述べたと報じられています。

背景には、Anthropicが6月、アリババ傘下のQwen AIラボに関連する事業者が、数万件規模のアカウントを使って数千万件規模のClaude利用を生成し、大規模な蒸留行為を行っていたと非難していた経緯があります。アリババはこの疑惑を否定しており、今回の禁止措置は両社の対立が一段と深まったことを示す動きだと報じられています。アリババは従業員に対し、代替として自社製コーディングツール「Qoder」を使うよう指示しているとされています。

なぜ重要か

日本企業や開発者の間でもClaude CodeをはじめとするAIコーディングツールの利用が広がる中、今回の一件はツールが送受信する情報の透明性やプライバシー管理の重要性を改めて示しています。特に地域判定やアカウント管理を目的とした機能であっても、利用者に開示されないまま組み込まれていた場合、企業のセキュリティ審査や情報管理の方針に影響し得ることが分かります。米中のAI開発競争が先鋭化する中で、大手プラットフォーム同士がツールの利用制限や技術流出対策を強めている実態は、海外AIサービスを利用する日本企業にとっても、利用規約やデータ取り扱いの確認を見直す一つのきっかけになりそうです。

今後の見通し

Anthropicが機能をすでに削除したとする一方、アリババ側は禁止方針を維持する構えとみられ、両社の主張の食い違いが解消されるかは不透明です。今後、Anthropicが今回の経緯について追加説明を行うか、他の中国企業が同様の対応を取るかが注目されます。