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AIモデルの二重ダウンロード解消へ Hugging Faceが新API「COS」を検証

Hugging Faceは、複数サイト間で大容量ファイルを共有できる新API「Cross-Origin Storage」をブラウザ向けAI推論ライブラリTransformers.jsに実験的に組み込み、AIモデルの重複ダウンロード問題の解消を検証しました。

出典 Hugging Face Blog 公開 読了 約4分
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AI利用範囲
AIによる要約・執筆(機械チェック実施)

重要ポイント

  • Cross-Origin Storage(COS)は、ファイルをURLではなくハッシュ値で識別・管理することで、異なるオリジン(サイト)間でのファイル共有を可能にする提案APIである。
  • WICG(github.com/WICG/cross-origin-storage)で提案されており、現時点でどのブラウザにもネイティブ実装されていない。
  • Hugging Faceは、パッケージ「@huggingface/transformers」v4.2.0のプルリクエスト#1549で、env.experimental_useCrossOriginStorage = true というフラグ一つでCOSバックエンドを有効化できる実験的対応を追加した。
  • デモではXenova/whisper-tiny.enなどのモデルや、4,733kB(約4.7MB)のWasm実行時ファイル「ort-wasm-simd-threaded.asyncify.wasm」を使い、サイトをまたいだキャッシュ共有の効果を確認している。
  • 記事の検証では、同じモデルを別サイトで読み込んだ際に177MB分の重複ストレージが発生した例が示されており、COS導入後は2回目以降の読み込みが高速化されると報告されている。

Hugging Faceは2026年6月23日、ブラウザ上で複数のウェブサイトをまたいで大容量ファイルを共有できるようにする新しいAPI提案「Cross-Origin Storage(COS)」を検証したブログ記事を公開した。著者はGoogle ChromeのDeveloper Relations EngineerであるThomas Steiner氏である。同社が開発するブラウザ向けAI推論ライブラリ「Transformers.js」に実験的に組み込み、AIモデルファイルの重複ダウンロード問題がどこまで解消できるかを検証している。COSはまだどのブラウザにもネイティブ実装されていない提案段階のAPIで、記事では拡張機能によるポリフィルを使って動作を確認したという。

背景と詳細

現在のブラウザキャッシュはオリジン(サイトのドメイン)ごとに隔離される設計になっている。これはセキュリティ上重要な仕組みだが、AIモデルのように数百MB〜数GBに及ぶファイルを扱う場合、同じファイルをサイトごとに何度もダウンロード・保存することになり、ユーザーの通信量やストレージ、待ち時間の無駄につながる。記事ではXenova/whisper-large-v3のような大規模モデルを例に、この重複が実際の利用体験に与える影響を指摘している。

COS APIは、ファイルの識別にURLではなく暗号学的ハッシュ値を使うことで、この問題に対応しようとする提案である。書き込み時にハッシュ値が一致しない場合は保存に失敗する仕組みになっており、ファイルの改ざんを検知できる点も特徴だ。アクセス範囲は origins: '*' を指定して全サイトに公開する、特定のオリジンリストに限定する、あるいは何も指定せず同一サイトのみに留める、という3段階で制御できる。

Hugging Faceは、ブラウザ上でAIモデルを動かすJavaScriptライブラリ「Transformers.js」にCOSへの実験的対応を追加した。パッケージ名は@huggingface/transformers、バージョンはv4.2.0、対応はプルリクエスト#1549で行われた。開発者はenv.experimental_useCrossOriginStorage = trueという一行を追加するだけで、モデル本体に加えてONNX Runtime Web用のWasm実行時ファイルもCOS経由でキャッシュできるようになる。ただしCOSはまだどのブラウザにもネイティブ実装されていないため、記事内のデモはChrome拡張機能によるポリフィルを使って動作を確認したものである。

なぜ重要か

生成AIブームによって、ブラウザだけで動く音声認識や自然言語処理のデモ・ツールが増えているが、モデルファイルのダウンロードに時間がかかる点は日本のユーザーにとっても体感しやすい課題となっている。COSが実現すれば、複数の日本語AIツールを使う場合でも初回だけ待てば以降は高速に動作する可能性があり、通信環境が不安定な環境でも使い勝手が改善しうる提案といえるだろう。またハッシュ値ベースの整合性検証は、ダウンロードしたモデルが改ざんされていないことを技術的に担保する仕組みとしても注目される。開発者にとっても、既存コードにフラグ一つ追加するだけで対応できる手軽さは、今後同様の提案が実装される際の参考になりそうだ。ブラウザ上でAIモデルをその場で動かすという発想は、通信を挟まず端末内で処理を完結させるエッジAIや、自分のPC上でモデルを動かすローカルLLMとも通じる考え方である。Hugging Faceは同時期に、主要ライブラリのリリース作業へのAI活用も発表している。

今後の見通し

COS APIは現時点でWICGにおける提案段階であり、ブラウザへのネイティブ実装時期は明らかにされていない。Hugging Face側はTransformers.jsでの実験的対応を先行して用意しているが、実際に一般ユーザーが恩恵を受けるには、Chromeなど主要ブラウザでの採用可否や仕様の確定を待つ必要がありそうだ。

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