プレゼン資料を作るとき、多くの人が最初につまずくのは「デザイン」ではなく「構成」です。何を最初に話し、どの順番で説得すれば伝わるのかが決まっていないまま、いきなりスライドを作り始めてしまうと、結局あとで大幅な作り直しが発生します。AIを使えば、この構成づくりの初速を大きく上げることができます。ここでは、構成案づくりから実際に話す原稿にする段階までを、具体的な手順で解説します。

まず「目的」と「聞き手」をAIに伝える

構成づくりの前に、AIへ渡す情報を整理しましょう。最低限伝えたいのは次の4点です。

  • 誰に向けた発表か(社内向け、顧客向けなど)
  • 発表の目的(承認をとる、理解を広める、意思決定を促すなど)
  • 持ち時間とスライド枚数の目安
  • 伝えたい結論やお願いしたいアクション

この情報が曖昧なまま「プレゼン資料を作って」と頼むと、AIは無難で一般的な構成しか返せません。逆に「経営層向けに、新しい取り組みの予算承認を得たい。持ち時間は10分、スライドは8枚程度」のように具体的に伝えると、目的に沿った構成案が出てきやすくなります。

構成案は「型」を使って作らせる

プレゼンには昔から使われている定番の型があります。代表的なものとして、課題提起から入る型、結論を先に述べる型、時系列で説明する型などが挙げられます。AIに構成を依頼するときは、これらの型を指定すると精度が上がります。

例えば「結論を先に述べる型で、見出しレベルの構成案を作ってください」と依頼すれば、AIは冒頭に結論、続いて根拠、最後に次のアクションという流れの骨組みを提案してくれます。ここで大事なのは、最初から完璧な文章を求めないことです。まずは見出しと要点だけの粗い構成案を出してもらい、全体の流れが自分の意図と合っているかを確認しましょう。流れに違和感があれば、この段階で修正を指示するほうが、スライドを作り込んでから直すより圧倒的に手間が少なく済みます。

スライドごとの要点に落とし込む

構成案の流れに納得できたら、次は各見出しをスライド単位の要点に分解します。ここでAIに「各見出しについて、スライド1枚あたり3つ程度の箇条書きにしてください」と依頼すると、スライドの下書きとして使える粒度の情報が得られます。

このとき注意したいのは、社内にしかない具体的な数値や実績、固有の事例は自分で確認してから入れることです。AIが提示する数字や事実は、必ず自社の実際のデータと突き合わせてから採用してください。AIは構成や言い回しを整える手助けとしては優秀ですが、事実の正確性を保証する役割ではありません。

話す原稿(トークスクリプト)に展開する

スライドの骨組みができたら、実際に話す原稿に展開します。箇条書きのままでは話し言葉になりにくいため、「このスライドの要点をもとに、1分程度で話せる原稿にしてください」といった形で依頼すると、口頭で話しやすい文章に変換してくれます。

原稿は一字一句読み上げるためではなく、話す内容の骨格を覚えるために使うのがおすすめです。声に出して一度読んでみて、不自然な言い回しや長すぎる文があれば、AIに「もっと短く、話し言葉らしく」と指示して調整しましょう。質疑応答で聞かれそうな質問を先にAIに挙げてもらい、想定問答を用意しておくのも効果的です。

仕上げのチェックリストで整える

最後に、資料と原稿を提出・発表する前に、以下の観点で見直しましょう。

  • 冒頭の1分で、聞き手は「何のための発表か」を理解できるか
  • 各スライドの主張と根拠が対応しているか
  • 数値や固有名詞はすべて自分で事実確認したか
  • 話す時間はスライド枚数と原稿量に対して現実的か
  • 聞き手が次にとるべきアクションが明確に示されているか

まとめ

  • 構成づくりはデザインより先に取り組むべき工程で、AIは初速を上げる補助として活用できます
  • AIには目的・聞き手・持ち時間・結論を具体的に伝えることで、精度の高い構成案が得られます
  • 定番の型を指定しながら、見出しレベルの粗い構成から段階的に詳細化していくと手戻りが少なくなります
  • 数値や固有の事実は必ず自分で確認し、AIの出力をそのまま信用しないことが大切です
  • スライドの要点から話す原稿への展開もAIに任せられますが、最終的には声に出して自分の言葉として整えましょう