OpenAIが2026年7月、自社内でのAIエージェント活用データをまとめた報告書「How agents are transforming work」を公開しました。報告書では、コーディング支援ツール「Codex」が社内のあらゆる部門で使われるようになり、従業員が任せるタスクの規模も大きく伸びていると報じられています。単純な質問応答から、数時間分の作業をまとめて任せる「委任型」の使い方へと変化している実態が示されました。日本国内でも生成AIの企業導入が進むなか、先行事例として注目されます。
ポイント
- OpenAI社内では法務・採用など非技術部門を含む全部門がCodexを主要なAIツールとして利用していると報じられています
- 平均的な社員が生成するAI出力の85%以上をCodex経由が占めるようになったとされています
- 調査対象ユーザーの70%が「人間なら1時間以上かかる作業」をCodexに依頼した経験があり、25%は「8時間相当」の依頼をしたことがあるとのことです
- 個人ユーザーが8時間超の大型タスクを依頼した割合は、年初からおよそ10倍に増えたと報じられています
- 非開発者によるCodex利用の伸びが、開発者による利用の伸びを上回るペースで拡大しているとされています
背景と詳細
OpenAIはこれまでChatGPTの利用実績を公表することが多く、今回のようにコーディングエージェント「Codex」の社内活用データをまとめて公開するのは珍しい試みです。Codexはもともとソフトウェア開発を支援するためのツールですが、報告書によると社内では研究、企画立案、社内コミュニケーション、採用、営業、プロダクト管理、データ分析など、開発以外の幅広い業務でも使われるようになっているとのことです。
報道によれば、部門別の利用拡大にも大きな差があり、研究部門は2026年6月時点で2025年11月比56倍、カスタマーサポート部門は32倍、エンジニアリング部門は27倍にそれぞれ伸びたとされています。比較的伸びが緩やかとされる法務部門でも13倍に達したと報じられており、技術系・非技術系を問わず利用が急速に広がっている様子がうかがえます。
こうした変化の核心は、AIとのやり取りが「その場で答えを得る」チャット型の使い方から、「まとまった作業を任せて後で結果を確認する」委任型の使い方へ移行している点にあると報告書は説明しているとのことです。エージェントが数十分から数時間にわたり自律的にツールを呼び出し、外部環境とやり取りしながら作業を進められるようになったことが、こうした変化の背景にあるとされています。なお、AIエージェントの業務浸透をめぐっては、他の調査でも同様の傾向が指摘されており、企業の働き方全体を見直す動きの一部として位置づけられています。
なぜ重要か
日本企業においても生成AIの業務導入は急速に進んでいますが、その多くは「チャットボットに質問して答えを得る」使い方にとどまっているのが実情です。OpenAI自身の社内データは、AI活用が次の段階として「長時間・複数ステップの作業をまとめて任せる」方向に進みつつあることを示す一つの事例といえます。特に非技術部門での採用が急速に伸びている点は、エンジニア以外の職種でもAIエージェントを活用できる余地が広がっていることを示唆しており、人事・法務・営業など幅広い業務での導入検討にとって参考になりそうです。
今後の見通し
今回のデータはOpenAI自社内での利用実績であり、他社・他業界の状況にそのまま当てはまるとは限りません。ただし、同様の「委任型AI活用」への移行が他の企業でも進むかどうかは、今後の生成AI導入における一つの焦点になりそうです。日本企業がこうした活用モデルをどのように取り入れていくかについては、今後の動向が注目されるところです。