フランスの実業家グザビエ・ニエル氏が創設した、パリの大型スタートアップ拠点「Station F」が、AI特化型アクセラレータープログラム「F/ai」の第2弾を2026年9月に開始する見通しであることが、TechCrunchの報道で明らかになりました。2026年1月に始まった第1期には、Anthropic、Google、Microsoft、OpenAIなど大手テック企業14社以上がパートナーとして参画し、修了した20社のAIスタートアップは合計3,400万ドルのプレシード資金調達に成功したと報じられています。年間1,000社以上を支援する欧州最大級のスタートアップハブが、AI分野に特化した育成プログラムをさらに拡充することで、「有望なAIスタートアップの登竜門」としての地位を強めようとしています。

ポイント

  • Station Fは延べ床面積約53万8,000平方フィート(約5万平方メートル)規模のパリのスタートアップハブで、Xavier Niel氏が創設した
  • AI特化型アクセラレーター「F/ai」は2026年1月に開始され、第2期は同年9月に開始予定と報じられている
  • 参加は創業者・パートナー企業・投資家からの推薦制で、直接応募は受け付けていない
  • 第1期にはAMD、Anthropic、AWS、Google、Meta、Microsoft、Mistral AI、OpenAI、OVHcloud、Snowflakeなど14社以上がパートナーとして関与し、第2期にはEleven Labs、Nebius、Ripplingなど6社が新たに加わったとされる
  • 第1期を修了した20社のAIスタートアップは合計3,400万ドルのプレシード資金調達に成功し、参加企業の8割が連続起業家、3分の1が博士号保有者だったと報じられている

背景と詳細

Station Fは、フランスの通信大手Iliadの創業者として知られるグザビエ・ニエル氏が設立したスタートアップ拠点です。パリ市内にある巨大な施設を中心に、年間1,000社以上のスタートアップを支援しているとされ、これまでにマクロン大統領を含むフランスの歴代大統領11人が訪問したほか、Sam Altman氏やYann LeCun氏といったAI業界の著名人も足を運んできたと報じられています。2022年からは有望企業を選出する「Future 40」プログラムを通じた投資も行っており、2024年選出企業のうち34社がAIを事業の中核に据えているとのことです。

こうした土台の上に2026年1月に立ち上げられたのが、AIスタートアップに特化したアクセラレータープログラム「F/ai」です。狙いは、創業間もない段階のスタートアップを数週間という短期間で実際の収益化フェーズへ移行させることにあり、参加企業には6ヶ月以内に100万ユーロ(約114万ドル)規模の売上達成を目指すことが求められているとされます。参加企業の選定は推薦制で、創業者や提携先企業、投資家からの紹介を通じてのみアクセスできる仕組みとなっており、一般からの直接応募は受け付けていません。

第1期にはAMD、Anthropic、AWS、Google、Meta、Microsoft、Mistral AI、OpenAI、OVHcloud、Snowflakeなど計14社以上がパートナーとして名を連ね、第2期にはEleven Labs、Nebius、Ripplingなど6社が新たに加わったと報じられています。第1期を修了したAIスタートアップ20社は、集団で合計3,400万ドルのプレシード資金調達に成功したとされるほか、Alpicはピッチコンテスト「The Pitch」のグローバルファイナルで優勝、RippletideはOpenAI主催のCodexハッカソンで優勝を果たしたと伝えられています。参加企業の特性としては、8割が連続起業家で、3分の1が博士号を保有していたことも紹介されています。

なぜ重要か

日本ではスタートアップ支援というと国内の官民ファンドやアクセラレーターが中心になりがちですが、Station Fのように大手テック企業が並んで支援に加わる欧州の枠組みは、資金調達だけでなくクラウド利用枠や技術サポートまで一体で提供する点が特徴的です。日本のAIスタートアップが海外展開や海外投資家との接点を探る際、こうした欧州発のプログラムの動向は参考になり得ます。また、AmazonやGoogleなど米系クラウド大手に加えてOVHcloudのような欧州発企業もパートナーに名を連ねている点は、AI基盤をめぐる地域間の競争構図を考える上でも注目に値します。

今後の見通し

F/aiの第2期は2026年9月に開始される見通しですが、具体的な参加企業数や投資条件の詳細は今後発表される可能性があります。第1期の資金調達実績や卒業生の成果を踏まえ、Station Fが今後もパートナー企業の拡大や支援内容の拡充を進めるかどうかは、続報を待つ必要がありそうです。