OpenAIが、米国政府に自社株式の5%を無償で供与する案を検討していると、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が匿名の関係者2人の話として報じました。ワシントンとの緊張緩和や、AIに対する世論の反発の高まりを抑える狙いがあるとみられています。サム・アルトマンCEOはこの構想を2025年初めにはすでにトランプ政権に持ちかけていたと報じられており、水面下での協議は1年以上続いているとされています。関係者によれば、議論はまだ構想段階にとどまっており、実現には米議会での立法措置が必要になる可能性があるということです。

ポイント

  • OpenAIが米政府に自社株の5%を供与する案を検討していると、FTが関係者の話として報道
  • 2026年3月に確定した評価額852億ドルの資金調達ラウンドを基準にすると、5%相当の株式価値は約426億ドルに上ると報じられている
  • サム・アルトマンCEOは、AIがもたらす恩恵を国民と分かち合う最良の方法だとしてこの案を主張しているという
  • アルトマン氏らは、米国の主要AI企業各社がそれぞれ株式の5%を、アラスカ州の石油収入を原資とする「アラスカ・パーマネント・ファンド」に似た基金に拠出するという、より広範な構想も提示していると報じられている
  • 議論は現時点では構想・初期段階にあり、実現には米議会の関与が必要になる可能性があるほか、他のAI企業がこの案に賛同しているかは不明

背景と詳細

FTの報道によれば、アルトマン氏は米政府への株式供与という構想を2025年初頭からトランプ政権側に働きかけていたとされています。今回明らかになった5%案は、この1年以上にわたる水面下の協議の延長線上にあるものだと報じられています。

背景には、AI企業の急成長に対してワシントンで政治的圧力が強まっていることがあるとみられています。巨大な評価額を持つに至ったAI企業が、その恩恵を一般国民や政府とどう分かち合うのかという論点が、規制論議や世論の反発の火種になっているとされ、OpenAIとしてはこうした緊張を和らげる材料として株式供与案を持ち出した格好です。

報道で紹介されているもう一つの柱が、アラスカ・パーマネント・ファンドを模した仕組みです。これは石油収入を原資として州民に配当を行うアラスカ州の基金にならい、米国の主要AI企業各社が株式の一定割合(5%)を拠出し、その運用益や配当を国民に還元するという構想だとされています。単にOpenAI一社が政府に株式を渡すというより、AI業界全体を巻き込んだ枠組みを描いている点が特徴です。

もっとも、FTの報道では、この協議はあくまで概念段階・初期段階のものであり、実際に制度化するには米議会での立法措置が必要になる可能性が高いとされています。また、他のAI企業がこの構想に同調する意向を持っているかどうかも、現時点では明らかになっていません。

なぜ重要か

今回の報道が事実であれば、AI業界を代表する企業が自ら政府に株式を差し出すという、これまでにない形の官民関係が生まれる可能性があります。AIがもたらす富の再分配をどう設計するかという論点は、米国に限らず各国のAI政策論議にも影響を与えうるテーマです。日本でも生成AIの普及に伴い、恩恵の分配や規制のあり方が今後の政策論議で取り上げられる可能性があり、米国発のこうした動きは一つの参考事例として注目されます。また、OpenAIのような巨大評価額企業と政府の関係のあり方は、AI企業への信頼や規制の方向性を占ううえでも重要な材料となります。

今後の見通し

現時点ではあくまで構想・協議段階であり、実現するかどうか、またどのような形になるかは不透明です。実施には米議会の立法措置が必要になる可能性があるとされ、他のAI企業の賛同が得られるかも見通せません。今後、FTや米主要メディアによる続報や、OpenAI・米政府双方の公式な反応が焦点になるとみられます。