Netflixが9月23日に配信予定のリアリティ番組「ウォンカズ・ゴールデンチケット(Wonka’s The Golden Ticket)」で、亡くなった俳優ジーン・ワイルダーの声をAIで再現して使用していることが分かりました。米The Verge等の報道によると、番組は実写映画『チャーリーとチョコレート工場』の世界観を再現した競技型リアリティ番組で、セット自体は実物ですが、ナレーションにはAI音声企業ElevenLabsが手がけた合成音声が使われています。ワイルダー氏の遺族からは同意を得ているとのことです。この起用は、Netflixが『イカゲーム』のヒットを受けて展開している、フィクション設定を現実の競技番組化する一連の流れの中に位置づけられています。
ポイント
- Netflixの新作リアリティ番組「ウォンカズ・ゴールデンチケット」が2026年9月23日に配信開始
- 番組ナレーションに、AI音声企業ElevenLabsが再現したジーン・ワイルダーの声を使用
- 起用にあたってはワイルダー氏の遺族から同意を得ていると報じられている
- 番組セット自体は実写で、AI生成画像による偽装ではないと強調されている
- 12組の「ゴールデンチケット」当選者とそのパートナーが、映画やロアルド・ダール原作にちなんだ課題に挑む形式
背景と詳細
「ウォンカズ・ゴールデンチケット」は、Netflixが手がける台本なしの競技リアリティ番組です。The Vergeによれば、公開されたティザー予告編でこの配信日が明らかになりました。番組は、映画『チャーリーとチョコレート工場』とロアルド・ダールの原作小説の世界観をベースに、12組の当選者とその同伴者が一連のチャレンジに挑む構成とされています。
今回とりわけ注目されているのが、ナレーションに使われた「ジーン・ワイルダーの声」です。ワイルダーは1971年版映画でウィリー・ウォンカを演じた俳優で、2016年に死去しています。Deadlineの報道によれば、Netflixは音声合成企業ElevenLabsと協力し、AIでワイルダーの声を再現しました。起用にあたってはワイルダー氏の遺族(ワイルダー・エステート)から同意を得たとされ、妻のカレン・B・ワイルダー氏も番組へのコメントを寄せています。ElevenLabsはこれまでにも、故人となった俳優の声をAIで再現する取り組みを他の制作でも手がけてきたと報じられています。
The Vergeの記事は、番組のセット自体は実物であり、いわゆる「グラスゴー方式」のようなAI生成画像による偽の演出ではないことも強調しています。これは、2024年に英グラスゴーで開催されたウォンカをテーマにしたイベントが、AI生成画像を使った誇大な宣伝で来場者の失望を招き、世界的に話題になった一件を念頭に置いた表現とみられます。
また今回の番組は、Netflixが『イカゲーム』の世界観を実写の競技番組化した「イカゲーム:ザ・チャレンジ」に続き、フィクション作品の過酷な設定を現実の視聴者参加型コンテンツに落とし込む一連の企画の流れに位置づけられていると報じられています。
なぜ重要か
今回の事例は、故人となった俳優の声を遺族の同意のもとでAI音声として商用番組に使う、比較的珍しい実例です。日本でも声優や俳優の声をAIで再現する技術・サービスの導入が進んでおり、権利者の同意プロセスや透明性の確保がどう運用されるかは、国内のコンテンツ制作者にとっても参考になる事例といえます。また、「セットは本物、声はAI」という組み合わせ自体が、視聴者に対してどこまで明示すべきかという情報開示のあり方を考えるきっかけにもなりそうです。
今後の見通し
番組は2026年9月23日にNetflixで配信予定です。配信後、AI音声の使用に対する視聴者やファンからの反応、そして遺族側の対応がどう評価されるかが注目されます。今回の事例が、著名人の声をAIで再現する際の同意プロセスのひとつのモデルケースとして扱われるかどうかも今後の議論の焦点になりそうです。