Googleは2026年6月30日、11回目となる年次環境報告書を公開しました。それによると、2025年の同社の電力使用量は前年比37%増加し、単年としては過去最大の伸び幅を記録しました。2019年と比べると電力使用量は250%以上に膨らんでおり、生成AIの学習・推論を支えるデータセンターの拡張やGoogle Cloud、YouTubeの運用拡大が主な要因と報じられています。一方で温室効果ガス排出量については、明暗が分かれる結果となりました。

ポイント

  • 2025年の電力使用量は前年比37%増、単年の伸びとしては過去最大
  • 2019年比では電力使用量が250%超に拡大
  • 自社の直接排出(スコープ1・2)は前年比2%減。9年連続で使用電力の100%を再生可能エネルギーで相殺
  • 一方でサプライチェーン排出(スコープ3)は前年比25%増。データセンター建設だけで約230万トンのCO2換算排出が発生し、台湾・日本・ベトナム・インドなど炭素集約度の高い電力網に依存する半導体サプライヤーが要因とされる
  • 水消費量は34%増の109億ガロンに達し、サーバー冷却の負荷増大が背景にあると報じられている

背景と詳細

報告書によれば、Googleは2025年単年で12ギガワット超のクリーンエネルギー契約を新たに締結しました。2010年から2025年までの累計では240件以上の契約で約35ギガワット分の新規クリーン電力を確保しており、再生可能エネルギーの調達自体は着実に積み増されています。それでも電力使用量そのものの急増ペースには追いついていない構図が浮かび上がっています。

効率面での取り組みも報告されています。Googleのデータセンターは、業界平均と比べて付帯設備によるエネルギー消費(オーバーヘッド)が83%少なく、2025年のデータセンター全体の電力使用効率(PUE)は1.09だったとされています。また、AIモデル「Gemini」の標準的なテキスト応答1件あたりのエネルギー消費量は、過去12カ月で33分の1まで低下したと報じられています。個々の処理の効率化は進んでいるものの、利用全体の規模拡大がそれを上回っているというのが実態のようです。

こうした状況について、Google自身が報告書内で「AIインフラの拡張は、電力網の脱炭素化のペースを上回って進んでいる」という趣旨の認識を示している点も報じられています。直接排出を抑えられている一方で、建設や半導体調達など間接的な排出(スコープ3)が急増している構図は、AI企業が抱える構造的な課題を浮き彫りにしていると言えそうです。

なぜ重要か

生成AIの急速な普及は、日本の企業や自治体にとっても他人事ではありません。国内でも大規模データセンターの新設計画が相次いでおり、電力インフラや地域の再生可能エネルギー調達との兼ね合いが今後の論点になり得ます。また、Googleが名指ししたスコープ3排出の要因には日本の半導体サプライチェーンも含まれており、AIの恩恵を享受する側である日本の産業界にも、間接的な環境負荷の一端があることを示唆しています。AI活用を進める企業にとって、性能や導入コストだけでなく、電力調達や環境負荷という観点も無視できないテーマになりつつあります。

今後の見通し

Googleは今後もクリーンエネルギー契約の拡大や効率化技術の投資を続けるとみられますが、AIインフラの拡張スピードが電力網の脱炭素化を上回る状況がすぐに解消される見込みは立っていません。同社が掲げる長期的な排出目標の達成が一段と難しくなっているとの指摘もあり、他の大手テック企業の環境報告にも同様の傾向が表れるかどうか、今後の動向が注目されます。