Meta(旧Facebook)が、テキストプロンプトだけでインタラクティブなミニゲームやアプリを作成・共有できる新アプリ「Pocket」を、iOSとAndroidの両方でひっそりとリリースしていたことが分かりました。TechCrunchが2026年7月2日に報じたところによると、公開日は6月29日で、Meta自身による公式発表は行われておらず、報道各社のコメント要請にも応じていないとのことです。この静かなローンチは、AIにバックエンドの複雑な処理を任せ、作り手はやりたいことを言葉で説明するだけで済む「vibe coding(バイブコーディング)」領域への、Metaの本格参入を示すものといえます。
ポイント
- Metaが新アプリ「Pocket」をApp StoreとGoogle Playで6月29日に公開。公式発表なしの「静かなローンチ」だったとTechCrunchが報道
- テキストプロンプトから「gizmo(ギズモ)」と呼ばれる小型のインタラクティブ体験やミニゲームを生成でき、他ユーザーが作った作品をスクロール形式のフィードで遊ぶこともできる
- 開発の土台は、Metaが2026年初頭に買収した「Gizmo」というバイブコーディング型ゲームプラットフォームのチームと技術
- 買収元は「Atma Sciences Inc.」で、MetaはGizmoのプロンプトからゲームを生成する技術について非独占ライセンスを取得したと報じられています
- Gizmoは買収時点で、Appfiguresの集計によるとiOS・Google Play合計で累計約63.5万インストール、ポジティブな評価の割合は98%だったと報じられています
背景と詳細
Pocketは、Metaのサポート文書によれば「gizmoを作って共有するためのクリエイティブプラットフォーム」と位置づけられています。ユーザーは自然言語でやりたいことを説明するだけで、タッチ操作やスマートフォンのモーション・傾きセンサー、音声、カメラなど端末の機能を活用したインタラクティブな体験を生成できるとされています。作った作品はアプリ内のフィードで公開・共有でき、他のユーザーが作ったgizmoを次々と遊べる仕組みも備えています。
このアプリの背景にあるのが、Metaが2026年初頭に行った買収です。TechCrunchおよび複数の報道によると、Metaはバイブコーディング型ゲームプラットフォーム「Gizmo」を運営していたAtma Sciences Inc.の研究開発チームを引き抜く形で獲得し、あわせて同社のプロンプトからゲームを作る基盤技術について非独占ライセンスを取得したとされています。Gizmoは独立系アプリとして一定の実績を上げており、Appfiguresの集計データによれば累計インストール数は約63.5万件、ユーザーレビューのポジティブ比率は98%に達していたと報じられています。
Metaにとって、生成AIを使った創作ツールへの投資は今回が初めてではありません。2026年4月に画像生成機能を備えたMeta AIアプリを展開したほか、AI生成動画を扱う「Vibes」、クリエイター向け動画編集アプリ「Edits」へのAI機能統合など、複数のAI創作プロダクトを並行して展開してきました。Pocketはこの流れの延長線上にあり、対象領域を「ゲーム・インタラクティブ体験」に広げた格好です。ただし今回は公式なプレスリリースやブログ投稿を伴わない静かな公開で、Metaはこれまでのところ取材にも応じていないと報じられています。
なぜ重要か
日本ではまだ「バイブコーディング」という言葉自体の認知度が発展途上ですが、Meta級の巨大プラットフォーマーがこの領域に実際にアプリをリリースしたことは、ノーコード・AI生成の創作ツールが実験段階から実用段階に移りつつある一つの兆候といえます。特に、既存スタートアップの技術とチームごと取り込むという買収の形は、日本の事業会社がAIプロダクト開発の速度を上げる際の一つの選択肢としても参考になりそうです。またPocketが公式発表なしで静かに投入された点は、大手企業が新しいAI機能を市場テストする際の手法としても注目されます。今後、同様の「まず出してみる」形のAI機能公開が国内外で増える可能性があります。
今後の見通し
Metaが今後Pocketについて公式にアナウンスを行うかどうかは、現時点では不明です。まずは静かな運用を続けながらユーザーの反応を見極める段階にあるとみられ、今後の機能追加や収益化方針、他のMeta製AI創作ツールとの統合の有無が注目されます。