「生成AI」という言葉はよく聞くものの、実際に何ができるのかは意外と整理されていません。大きく分けると、生成AIの守備範囲は「文章」「画像」「動画」「音声」の4分野です。それぞれの現在地を見ていきます。
文章 — もっとも成熟した分野
チャット形式で文章を生成するAIは、4分野の中でいちばん実用が進んでいます。
できること: メール・企画書・要約・翻訳・アイデア出し・プログラムの作成など、テキストで完結する作業のほぼ全般。長い資料を読み込ませて質問に答えさせる使い方も一般的になりました。
まだ苦手なこと: 事実確認です。もっともらしい嘘(ハルシネーション)を含むことがあるため、固有名詞・数字・出典は人間の確認が必要です。
画像 — 「描く」から「直す」へ
文章で指示するだけでイラストや写真風の画像を生成できます。
できること: イメージ画像・イラスト・ロゴ案などのゼロからの生成に加えて、既存写真の背景除去・不要物の消去・画風変換といった「編集」の精度が上がっています。
まだ苦手なこと: 細かい文字の描画や、同じキャラクターを何枚も一貫して描くこと。商用利用では、学習元や権利関係がツールごとに異なる点にも注意が必要です。
動画 — 急速に進化中
数年前まで研究段階だった動画生成は、短い映像なら実用レベルに達しつつあります。
できること: 文章や1枚の画像から数秒〜数十秒の映像を生成すること。また「生成」とは別に、テンプレートに素材を流し込んで編集済みの動画を自動で組み立てる方式も広がっており、SNS動画や店頭サイネージのような定型的な動画はこちらが実用的です。
まだ苦手なこと: 長尺でストーリーの一貫性を保つこと、物理的に不自然な動きの排除。生成のやり直しコストも文章や画像より高めです。
音声 — 聞き分けが難しいレベルに
音声の合成・変換は、人の声と聞き分けが難しい水準に達しています。
できること: 文章の読み上げ(ナレーション生成)、多言語への吹き替え、会議音声の文字起こし。ナレーターに依頼していた作業のかなりの部分が置き換え可能になっています。
まだ苦手なこと: 感情の細かい演技指定や、日本語の固有名詞・専門用語の読み間違い。本人の同意なく声を複製する悪用への警戒も必要です。
まとめ
| 分野 | 実用度 | 人間の確認が特に必要な点 |
|---|---|---|
| 文章 | 高 | 事実・数字・出典 |
| 画像 | 高 | 権利関係・細部の破綻 |
| 動画 | 中〜発展中 | 一貫性・不自然な動き |
| 音声 | 高 | 固有名詞の読み・悪用リスク |
「どのAIがすごいか」より「どの作業をどの分野のAIに任せるか」で考えると、導入の判断がしやすくなります。