ソニー・ミュージック、Udio提訴で3万曲追加を申請も裁判所が却下
AI音楽生成サービスUdioを巡るソニー・ミュージックの著作権訴訟で、対象楽曲を3万曲超に拡大する申し立てが却下されました。訴訟は当初の333曲のまま継続する見通しです。
重要ポイント
- ソニー・ミュージックは2026年5月22日、AI音楽生成サービスUdioへの著作権侵害訴訟において、対象楽曲を3万442曲に拡大するようニューヨーク州南部地区連邦地裁に申し立てました
- 対象として挙げられていた楽曲には、エルビス・プレスリーの「Hound Dog」、ビヨンセの「Say My Name」、ハリー・スタイルズの「As It Was」などが含まれていたと報じられています
- 担当のAlvin K. Hellerstein判事はこの拡大申し立てを却下し、訴訟は当初の333曲のまま継続することになりました
- 判事は「証拠開示終盤でこれだけの作品を追加すれば、追加の証拠提出・審査や新たな紛争を招き、訴訟の範囲を実質的に変えてしまう」という趣旨の理由を示したと報じられています
- ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とワーナー・ミュージック・グループはすでにUdioと和解しライセンス契約を締結しており、大手レーベルの中で訴訟を続けているのはソニーのみです
このニュースを仕事でどう使うか
- 生成AIツールを業務で活用する日本の企業にとって、学習データの出所や権利処理の状況を確認する視点は今後さらに重要になっていくと考えられます。
- 特に音楽・映像・画像などクリエイティブ領域でAI生成物を商用利用する場合は、利用するサービスの権利処理方針や海外での訴訟・和解状況を把握しておくことが、将来的なリスク低減につながる可能性があります。
- 契約や導入の判断そのものは、各社の状況に応じて個別に検討することが望まれます。
AI音楽生成サービス「Udio」を著作権侵害で訴えているソニー・ミュージック・エンタテインメント(Sony Music Entertainment)が、訴訟対象の楽曲を3万曲超に拡大しようとした申し立てが、ニューヨーク州南部地区連邦地裁で却下されたことがわかりました。米メディアMusic Business Worldwideなどが報じています。ソニー側は今年5月、Udioの学習データへのアクセスを通じて新たに特定したとする3万442曲を訴訟に追加するよう申し立てていましたが、裁判官はこれを認めませんでした。訴訟は現時点で、当初対象となっていた333曲のまま継続する見通しです。
背景
Udioは、テキストによる指示だけで楽曲を生成できるAIサービスとして2024年に登場し、Sunoと並んでAI音楽生成分野を代表する存在となりました。こうしたサービスの学習データに著作権保有楽曲が無断で使われているのではないかという懸念から、2024年6月、米国レコード協会(RIAA)がソニー・ミュージック、UMG、ワーナー・ミュージック・グループを代表してUdioとSunoを「大規模な著作権侵害」で提訴しました。これが今回の訴訟の出発点です。
詳細
2024年に始まったこの訴訟は当初、333曲を対象としていました。その後2025年10月にUMGが、同年11月にワーナー・ミュージック・グループがそれぞれUdioと和解し、将来のAI音楽サービスに向けたライセンス契約を結んだことで、大手レーベルの中で訴訟を継続しているのはソニーのみとなりました。
ソニー側は、証拠開示(ディスカバリー)の過程でUdioの学習データへのアクセスが認められたことを受け、新たに3万442曲がUdioに無断で学習・複製されたと特定したとして、2026年5月22日にこれらを訴訟対象に追加するよう申し立てました。申し立てでは、この3万曲超のリストは「原告の作品のうちUdioが侵害したもののごく一部にすぎない」と主張していたと報じられています。
しかしHellerstein判事は7月上旬、この拡大申し立てを却下しました。証拠開示がすでに終盤に差し掛かっている段階で3万曲超を新たに追加すれば、双方に追加の証拠提出・審査対応を強いることになり、訴訟の争点や範囲そのものを大きく変えてしまうというのが主な理由とされています。この結果、訴訟は当初の333曲を対象として続くことになりました。証拠開示手続きは2026年8月25日まで延長されており、その後に双方が略式判決を求める展開が見込まれています。なお、Udioは2026年4月には、AI学習データの一部としてYouTube上の音源をスクレイピングしていたことを認める答弁を行ったとも報じられています。
なぜ重要か
今回の一件は、生成AIサービスの学習データに著作権保有コンテンツをどこまで、どのように使えるのかという「フェアユース」を巡る係争の一つであり、判断の帰結は音楽業界とAI業界双方に影響し得るものです。日本では音楽著作権の管理体制や権利処理の考え方が米国とは異なりますが、AI生成コンテンツと既存の権利者との関係整理という論点自体は、音楽に限らず画像・映像・文章生成など幅広い分野に共通する課題です。海外の大手レーベルがAI企業との間でライセンス契約という形で決着させるケースが出てきていることも、今後のビジネスモデルの参考材料になります。
今後の見通し
証拠開示は2026年8月25日まで続く見通しで、その後は双方が略式判決を求める展開が予想されています。フェアユースに関する本格的な司法判断が下されるのは2027年にずれ込むとの見方が報じられており、ソニーとUdioの争いの行方は、他のAI音楽サービスと権利者との関係にも影響を与える可能性があります。
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